2018年08月22日

DWS

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またしても古い話になるが・・・
人間、歳食ってくると昔の自慢話がしたくなるもんなのね。
今日の話は古くて、新しい。

今から25年も前に遡るから、まだ40歳になってなかった頃の話。
ある日、思い立った俺は会社をサボって1か月間の旅に出た。
ザイルやクライミングギヤをどっさりザックに詰め込み、フィイリピンマニラへ。
さらに国内線を乗り継いでセブ島マクタン空港へ。

空港で群がるタクシードライバーの中から気の弱そうなのを一人捕まえって
「どちらへ?」と聞いてくる運ちゃんに「それをこれから、あんたと話し合って決めようと思うのだが。」
まず安そうなホテルに連れ込み、「海がきれいで、安い宿があって、崖がある所に行きたいのだが・・・。」

翌日の朝、タクシーはなぜかきれいな、おねえさんとおっさんを乗せて俺を迎えに来た。
アジアのタクシーというのは、なぜか前に二人乗っているのだが、今日は3人で、後ろに俺一人。
おねえさんは、その見るからにエロいおやじの嫁さんだという。ホントか?

タクシーはがたがた道から峠を越えて「モアールボアール」という小さな村に4時間かけて到着した。 

俺の中でのイメージは南海のビーチでクライミングみたいなイメージでいたのだが、サンゴと石灰岩でできた岩壁にはハーケンを打ち込むリスもカムを決めれるようなクラックもない。まあ、明日からリサーチだなと決め込んで、浜でぼけっとしていたら
「どうしたの?」と現地の若者が日本語で話しかけてきた。
彼の名はディック・ビスタマンテ(25歳)
日本で2年暮らした事があり、横浜で土方をしていた時に日本語を覚えたそうだ。
俺は「かくかくシカジカで、日本から未知の岩壁を求めてやって来た」と相談すると
「ここは、みんな潜りに来る所だよ。あなたも一緒にダイビングをやろうよ」という事になってしまい。
翌日からスキューバダイビングの特訓を受ける事になってしまったのだ。

浜から1時間も船で走ると沖合には「ピスカドール島」という信じられないくらいきれいなダイビングスポットがあって
海底30mまで潜ると「カテドラル」と呼ばれるアーチ型の洞窟を潜り抜ける事が出来る。

俺はここで1か月近くに渡って毎日、ダイビングをする事になってしまいその魅力に取りつかれてしまった。
午前中のダイビングから戻るとシャワーを浴びて、食堂の冷蔵庫から勝手にビールを出して飲み、柱の所に張ったメモにタカオ正正と書き込んでおけばOKだ。
毎日夕方になるとスコールがやって来るので、パンツ一丁で外に出てシャンプーで頭もを洗う。
当時、この村には水道がなく、バナナの皮で編んだバンガローの屋根の水タンクに1日1人4ガロンと決められていたので
天然シャワーはありがたい。

1日3食、ダイビング代金。
村人たちとも仲良くなり、夢のような1か月も終わりを告げようとしていた。
とうとう最後にそのつけを払う日がやって来たのだが、ディックが前々から欲しがっていた俺のダイバーウォッチを売ってほしいと言って来た。今はなくなってしまったが、オリエントの25,000円の腕時計を2万円で買うと言っている。
えー、いいの?
滞在費の全てを支払っても、手元におつりが残ったくらいだ。

ディックやその家族たちとの付き合いは続いていて、俺は、その2年後にまた、この地を訪れている。
ダイビングショップ「ネルソンズ プレイス」は今や人気のスポットだ。

さて話は長くなってしまったが、この俺が夢みていた海辺のクライミングは今、ディープ・ウォーター・ソロという一つのクライミングスタイルとして確立している。
海岸の岩壁をロープなしで登り、行き着くところまで行ったら、あとはダイブで終了だ。

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俺が勝手に「北の怪物」と名付けた知人は今や、日本一のディープ・ウォーター・ソロ クライマーだ。
彼らの誘いを受けて、最近手に入れたSAP(スタンド・アップ・パドル・ボード)で海に漕ぎだし
ついに念願の岩壁に出会った。

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登り切ったら、ザブン!
青い鳥は、やはり身近にいたんだってことで、チャンチャン。
posted by 宮下岳夫 at 16:05| 北海道 ☔| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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