2012年08月16日

モンブランの千の風

027.JPG

今年5月に亡くなった親父の遺言ノートには、俺に託されたメッセージがあった。
「骨は、かあさんの骨と一緒にどこかの山に撒いてくれ」と…
そして実家の仏壇にはお袋の喉仏が小さな骨箱に収まっていた。
俺がやるのかよ…
同じくその遺言ノートには「人生の中で楽しかった事」という項目に「息子と行ったモンブランでのスキー」が思い出の一つとして書かれていた。
そこで俺は実家にあったミキサーで親父とお袋の骨を粉々にブレンドして、その白い粉をジップロックに入れ、思い出の地、モンブランに埋めてやろうと決心する。

風吹きすさぶ氷の稜線を登っている時でも、背中のザックの中に両親がいると思うと、暖かい気持ちになれた
8月8日(奇しくも初登頂は1786年8月8日 ジャック・バルマとガブリエル・パッカール 226年前です!)ヨーロッパ最高峰のモンブラン 4810m頂上に立つ。
他の登山者たちが登頂の歓喜で賑わっていたので、頂稜の奥、イタリア側まで行き、ピッケルで雪をかき出し穴を掘り、そこに二人の骨をそっと撒いて埋めた。

014.JPG

風が強く、まさしく親父の好きだった歌「千の風」が吹いているような感じだった。
「これで良かったか?」と二人に言い残し、頂上を後にする。

モンブランの頂上には20回くらい登っているが、正確な回数は数えていないし、覚えていない。
案内したお客さんの数もたぶん80人くらいになると思うが、これがガイドとして最後のモンブランになるだろう。もういいだろう、俺も年齢を取ったし、これから先は若きガイド達に道を譲りたい。
親父達には申し訳ないが、ここに墓参りに来る事はないだろう。
それでも、吹きすさぶ千の風に乗って、またどこかの山で会えるはずだと信じてる。

親父は喜んでいると思うが、身体が弱かったお袋にはちょっと寒いところだったかもな!(my)/





posted by 宮下岳夫 at 15:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
ページトップへ戻る